5月に入り、4月から続いていた円安が下がったと思っていたところ、
6月に入り、また134円台 (6/15時点)を更新し、140円台へいくのではないか、と
気になっている方も多いのではないでしょうか?
今日は、今後の円安の流れも含めて、改めて金利、為替、債利周りについて考えながら、
今後の流れについて考えていきます。
また、改めてFX取引で出てくる「証拠金」についても復習していきましょう。
ぜひ、参考までに一読していただけたら嬉しいです。
目次
なぜ円安が止まらない?①
5月で一時的に130円以下に下がったドル円ですが、6月に入ってから、135円台突破(6/14時点)と
止まらない円安が続いています。そもそもなぜ円安が止まらないのか、について考察していきます。
為替相場の主な要因は金利です。もちろんそれ以外の要因も含まれますが、
為替相場の変動要因のおよそ7割が金利によるもの、と言われているくらい為替相場は金利次第とも考えられます。
今回の135円まで行った大相場は、まさに金利差によるもので、主役は日本と米国の中央銀行です。金利差を考える上で、注目したいのが
日本と米国の中央銀行です。それぞれの中央銀行は、日本なら日銀、米国なら連邦準備制度理事会(FRB)です。
金融政策の最も重要な目標は「物価の安定」です。
そして先進国では数字が既に定められていて、物価安定の目安はどの先進国でも2%です。
日本のこの物価安定ラインの2%についてですが
総務省が4/20に発表した4月の全国消費者物価指数(2020年=100、生鮮食品を除く)では、前年同月比2.1%上昇の101.4で、伸び率の大きさは消費税増税の影響で2.2%上昇しています。
ですが、日銀の黒田総裁は、融政策決定会合などでも、日本の経済はまだ脆く、利上げに耐えられないとして、超低金利を今後も当面維持することを表明しています。
なぜ円安が止まらない?②
そもそも、金利を上げない理由として、金利上昇による経済活動の抑制が懸念されるからと考えられます。
金利が上昇すると、金融機関は、以前より高い金利で資金調達しなければならず、企業や個人への貸出においても、金利を引き上げるようになります。 それによって、企業や個人は、資金を借りにくくなり、経済活動が抑制されて、景気の過熱が抑えられます。(景気過熱を抑えるための金融政策は、金融引締め政策と呼ばれます。)
金利が下がった場合、金融機関は、低い金利で資金調達が可能なので、企業や個人への貸出においても、金利を引き下げることができます。また、金融市場は互いに連動しているため、金融機関の貸出金利だけでなく、企業が社債発行などの形で市場から直接資金調達をする際の金利も低下します。
そうなると、企業・個人ともに資金調達しやすくなるため、経済活動がより活発となり、それが景気を上向かせる方向に作用します。(景気を上向かせるために行われる金融政策は、金融緩和政策と呼ばれます。)
一方、米国の中央銀行FRBが掲げる目標は、雇用の最大化と物価の安定の2つです。
雇用の最大化は景気指標ですが、物価と景気の両方を目標に持つ唯一の中央銀行なのです。
米国の失業率は3月に発表された2月分から3%台の完全雇用の状態となっており、
物価目標のみに集中できる環境です。
また、5月に発表された4月の米国の消費者物価上昇率は8.3%と高い結果でした。
そのため堅調なアメリカ経済を見越して政策金利は3月(0.25%)、次の5月(0.5%)と引き上げられ、
さらに6月も大きく利上げが予想されています。
なので、3月以降の利上げを見越して、ドル高円安相場が始まったと考えています。
金利が動くと為替がどうなる?
ここで改めて、為替、金利、国債の動きを見ていくために基本的に市場の動きを紹介していきます。
継続的に景気が良くなり、金利が上昇する状況では、調達ニーズの高まりは続き、企業業績向上への期待が高まります。投資対象として、債券から株式に移り、投資マネーは債券市場から株式市場へ移動するので、金利上昇と株価上昇が起こります。
反対に、金利上昇が悪い影響を及ぼす場合があります。これは金利が上昇することにより、企業は借入れコストが上昇する為、設備投資の縮小を行います。また、個人消費でも住宅ローン金利が上昇することから、企業業績低迷への不安が高まり株価は下落する傾向があります。
そして、よく聞く、債権利回りとは、例えば10年債権利回りとは、
一般投資家が国に10年間お金を貸す時に受け取る金利であり、2年債権利回りもあります。
「利回り」とは、お金を貸し借りする際の投資元本に対する収益の割合(トータルリターン)
を率(%)で表わしたものです。
米2年債利回りが15年ぶりに高水準
米国連邦準備制度理事会(FRB)は6月14、15日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、短期金融市場を操作する目的で調整する政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の現状の誘導目標0.75~1%から0.75ポイント引き上げ、1.5~1.75%にすることを決定しました。
FRBは景気の現状について、2022年1~3月期の成長率がわずかに縮小したものの、その後持ち直していると評価する一方、ロシアによるウクライナ侵攻はグローバルな経済活動の重荷になっていると述べ、また前回と中国の都市封鎖が供給網の混乱を悪化させる可能性があるとして警戒感を示しています。
ここで、米国の政策金利であるFFレートが最終的にどこまで上がるか、米ドル高・円安の最終到達点が140円を超えるか、超えずに終わるかは注目材料の一つと言えます。
では、改めてアメリカの2年国債利回りについても見ていきましょう。
6/13の金融市場では米国のインフレ加速の衝撃が続き、米連邦準備制度による、さらなる積極的な利上げを織り込む動きが加速しました。そこで、米2年国債利回りは15年ぶり高水準を付け、ドル高がさらに進みました。
米2年債利回りについて注目!
そもそも、為替相場は基本的に金利差と連動しています。
例えば、金融政策を反映する2年債利回りは、2021年からゼロ近辺でほぼ横這いが続いていました。
つまり、この時は、日本と米国の金利差はほぼ同じの状況が続いていました。
また、米2年債利回りは、米金融政策を反映すると言われていて、
つまり政策金利のFFレートと基本的には連動すると考えられます。
そして、これまでも米2年債利回りのサイクル・トップは、
基本的にFFレートのピークをせいぜい小幅に上回る程度でした。
ところが、米2年債利回りは、ここに来て3%と大きく上回り出し始めました。
なので、今後さらに3.5%以上に上昇するのか、それ以上の値に上昇するかは
FFレートが最終的にどこまで引き上げられるかが目安になりそうです。
加えて、これまでの米ドル/円と米2年債利回りの関係を前提に考えると、米ドル高・円安が140円を超えるためには、FFレートは4%以上に引き上げられることが必要になると考えられます。
逆に言うと、FFレート引き上げが、3.5%以下にとどまるようなら、
米ドル高・円安は140円に届かずに終わると言えます。
なので、今後も一つの目安としてFFレートと米2年債利周りの動きに注目していきましょう。
豪ドル円 7年ぶりの高値を記録
豪ドル/円は、基本的に80〜90円で推移する通貨と言われていますが、豪ドル円は7年ぶりの高値を記録していて、97円まで上昇余地があるのではないかと言われています。なぜ、ここまで値上がりが続いているのか、ここまでの流れなどについて考えていきましょう。
RBA理事会は、5月においても、インフレ圧力の加速を阻止するため、政策金利であるオフィシャルキャッシュレート(OCR、銀行間取引で使われる翌日物貸出金利)の誘導目標を0.25ポイント引き上げ、0.35%とすることを決定しています。
そして、今回政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標を0.5ポイント引き上げ0.85%とすることを決定し、インフレ圧力を抑制するため「必要な措置」を講じると表明したました。
政策金利の上昇、資源高などの影響もあり、豪ドル円は、中長期的に上昇する見込みがあり、
円安も引き続き、続くと考えられるので、、再び97円に近づく可能性があると言えます。
豪ドル円の上昇について政策金利の値上げ以外の要因について、細かく分けて解説していきます。
豪ドル円 7年ぶりの高値の要因について
政策金利以外の要因として、政治、資源の値動きについても見ていきましょう。
まず、政治面から考えていくと、オーストラリアのアルバニージー労働党政権が発足してから一か月を迎えました。新政権は、気候変動対策、中国の影響力が強まる近隣南太平洋の島国との関係強化アピールをする一方、
関係が冷え込んでいた中国とおよそ2年ぶりの閣僚級会合を実現し、順調な滑り出しを見せています。
また、豪州は、中国への輸出が30.7%と比率が高いので、
中国との関係が悪化すると豪ドル売りになりやすいと言われています。
中国への輸出品は鉄鉱石(32%)、石炭(12%)、天然ガス(10%)と資源が多く、
資源価格が下がると豪ドルも売られるため、そこも注意していきましょう。
FX取引でよく聞く 「証拠金とは?」
FXでトレードをしていると、証拠金(取引に必要な資金)の中で、
預託証拠金と有効証拠金という単語が出てくるかと思います。
預託証拠金とは、預けている現金の総額で、
「今、仮にすべての取引をやめた(決済した)場合、口座にいくら残るか」を示す金額です。
この証拠金制度は、少しの額で投資ができると言われています。
FXでは、あらかじめお金を口座に入金し、それを担保に最大25倍のレバレッジをかけて取引が可能です。
この口座に入れるお金を証拠金と言います。
たとえば、10万円の資金を証拠金とした場合、レバレッジをきかせることで
最大250万円分の投資が可能となります。
ですがその分ハイリスク・ハイリターンになり、
また為替変動により、保有ポジションに含み損が発生すると、
追加の証拠金(追証)が必要となるため、
必要証拠金に対して余裕を持った投資を心がけることが大切です。
まとめ
今日は、先月に引き続き円安について書いていきました。
引き続きどこまで、円安が続くかに注目していきましょう。
また、FRBは景気の現状について、2022年1~3月期の成長率がわずかに縮小しましたが、
その後、回復していると評価する一方、
ロシアによるウクライナ侵攻はグローバルな経済活動の重荷になっていると述べ、
前回に引き続き、中国の都市封鎖が供給網の混乱を悪化させる可能性があるとして
警戒感を示しています。
引き続き、各国の中央銀行の動きも合わせて注目していきましょう。
常に、めまぐるしく経済・金融情報が発表されていますが、
一つひとつの情報にまどわされ、焦って感情にトレードをするのではなく、
冷静に中長期的にトレードをしていきましょう。
堅実に、長期的にFXトレードをしたい方は
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