移動平均線とは
テクニカル指標の一つで、最も代表的なもの。過去N日間の終値の平均値を、毎日割り出してグラフ化したものです。
例えば、20日移動平均線の場合、直近の20日間の終値を合計し、20で割ったものが、直近日の移動平均地となります。2日目以降は、順次前日までの合計値に新しい終値を加えると同時に、20日前の終値を除外して20で割っていきます。
このように毎日平均値を求めていき、計算された平均値で線で結んでグラフ化すれば、20日移動平均線になります。
移動平均線を使った分析手法としては、移動平均線と値動きの位置関係に注目した「グランビルの法則」が有名です。タケルFXスクールでも初級コースを卒業するとグランビルの法則を教えます。
ここでは、より分かりやすく売買の判定ができる「ゴールデン・クロス」と「デッド・クロス」を説明します。この分析手法では、計算対象の期間が異なる2本の移動平均線を利用して相場の反転を見ます。
移動平均線は、計算対象の期間が長くなるほど変動が緩やかになり、価格の変動に対して反応が鈍くなるという特徴があります。
2本の移動平均線のクロスは、この特徴を活用した分析手法で、長期間の平均値と短期間の平均値との方向や位置関係から今後の値動きを予想します。
ゴールデンクロスとは、短期の移動平均線が、長期の移動平均線を下から上へクロスすることを言います。
長期的な値動きに対して、短期的な値動きが強く上昇している場合に出現する買い傾向となります。よくある間違いなのですが、ここを売買サインとする方がいます。そのような単純な方法でFX相場で利益を出せるほど簡単ではありません。注意しましょう。
ゴールデン・クロスの逆で、短期の移動平均線が、長期の移動平均線を上から下へクロスすることをデッド・クロスと呼びます。
長期的な値動きに対して、短期的に強く下落している場合に出現し、売り傾向となります。
これらのゴールデンクロスとデットクロスにはメリットもありますが、欠点もあります。それを次に書いていきます。
移動平均線は、大変シンプルに相場状況を判断できるツールとして、今も広く利用されているテクニカル指標です。
また、移動平均線がテクニカル分析の基本とされるのは、他の数多くのテクニカル指標に移動平均線の考え方が応用されているからです。
代表的なテクニカル指標として用いられているのがストキャスティクスです。これは移動平均線を基に作られています。移動平均線はほとんどのFXトレーダーが見ている代表的な指標で、最もオーソドックスであり、極めて使いやすいものです。この移動平均線が基本中の基本になります。
しかし、移動平均線には弱点があります。
それは、価格の変動に対して移動平均線の反応が遅れ、売買傾向にタイムラグが発生することです。
移動平均線は、その計算方法から一目瞭然ですが、過去の終値の影響を直接受けるため、常に値動きを後追いして変動し、相場に先行することがない指標です。
そのため、移動平均線だけで相場の行方を予測することは困難と言われています。ところが、移動平均線だけで見ている人もいます。そこには流派があります。移動平均線よりももっとしっかりと見たいという場合、さらに多くのテクニカル指標が追加されます。
もともと、より近いところを見たいと考えた人は、移動平均線にはタイムラグという弱点を克服した加重移動平均線という考え方もあり、実際に利用されています。これは好みの問題です。加重移動平均線とは、平均値を算出する際に最新のデータを最も重視し、古いデータほど影響度が少なくなる様に比重を掛けて計算します。指数平滑移動平均線(EMA)は、更に直近の比重を高めてタイムラグを低減させた移動平均線の発展型です。タケルFXスクールでは、EMAは使っていません。
シンプルな計算式でチャート上に描かれた移動平均線には、2つの意味があると考えられています。
一つ目は、前述の通り、価格変動の傾向を示す指標としての機能です。
過去の終値の平均値を連続したデータである移動平均線は、価格変動から小さく上下動したブレを取り除き、より滑らかに見せるために視覚的な表現に優れて大きな相場の方向性や勢いを表現したラインであるという特徴です。
短期的な価格変動に惑わされず、相場の基調を確認するのに適した指標です。なので、これを目的に移動平均線を表示させている人が多いです。
もう一つは、ちょっと難しくあまり意識している人は少ないと思いますが、とても基本に沿った考え方です。移動平均線を算出した期間におけるマーケットポジションの平均コストであるという考えです。
平均コストとは、その期間に市場で売ったり買ったりされた価格の平均的な水準であるという意味です。何に利用するかというと、移動平均線の水準を超えて値段が上がったり下がったりすると、取引中のポジションに発生している含み益が含み損に変わったり、利益と損失の逆転が起き得る水準という考え方で、具体的には移動平均線の上にある場合、買い有利、移動平均線の下側にあると売り優位という思考です。
移動平均線を表示したチャートを見ていると、移動平均線の付近で値動きが止まったり、支持線/抵抗線の様に移動平均線の水準が機能して、直前の値動きから反発するような動きを確認できるでしょう。
もし、あなたはそれが見えてきたら、素晴らしいです。移動平均線は、相場の動きに対するマーケット参加者の行動を左右する材料とも言えるのです。